ここではうっかりミスにより重大な被害を受ける可能性があるメール誤送信について解説。どのようなリスクがあるのか、企業や組織で実際に起こった事例を参考にご紹介します。
メールを送る宛先を間違えてしまうことを誤送信と言います。最近は取り消し機能があるメールも出てきましたが、通常は受信先のサーバへ直ちに送信されるため取り消しができません。また複数の相手に同時メールを送る場合、メールアドレス表示を隠すBCCで送るべきものをCCで送ってしまうのもメールの誤送信と言えます。
メールの誤送信は情報漏洩の危険性につながります。宛先を間違えてメール送信するのはもちろんですが、BCCの操作を間違えると第三者に他人のメールアドレスを知られてしまうので情報漏洩になります。誤送信したメール内容によっては謝罪するだけでは解決しないこともあります。うっかりミスでも損害賠償責任が生じますので要注意です。
2022年6月、Osaka Metroは新卒採用活動において合格通知の誤送信があったことを発表しました。採用管理システムから連絡する際、Aさんへの通知が誤って17名に送信されていました。担当者1名でメッセージ送信先のチェックを十分に行わなかったことが原因で、再発防止策として今後は複数人でのチェックを行うとしました。
2022年5月に三重県が運営する熊野少年自然の家において、指定管理者によるメールアドレス流出があったことが判明しました。会員にイベント情報を通知する際に、本来BCCでメールを送るところをCCで送信してしまい、メールアドレス110件が流出。これは行うこととしていたダブルチェックをせず送信してしまったことが原因です。
2022年4月、ガスパル中国において本来は送るべきではない顧客の個人情報が記載されたデータを、緊急時対応を委託している保安会社に誤ってメール送信していたことがわかりました。担当者が他の業務と並行して多忙な中で起きた人為的ミスで、直ちに誤送信メールの削除依頼を行い第三者などへの情報流出は確認されませんでした。
メールの誤送信には宛先設定ミス、ファイル添付ミス、本文書きかけミスなどがあります。本文書きかけミスやファイル添付忘れなどの操作ミスは、それほど大きな問題にはなりませんが、宛先設定ミスや添付すべきファイルの間違えは情報流出に直結します。
いずれも人為的ミスでメール送信する前にチェックを徹底すれば防ぐことが可能です。こうした誤送信は、業務が忙しく確認せずに送ってしまったり、チェックする決まりを無視することで発生するケースが多く見受けられます。
メール誤送信の被害の予防として、社員教育にて下記を意識させるようにしましょう。
・送信前に宛先と内容の再確認をする。
・重要な情報はメール本文ではなく暗号化された添付ファイルにする。
・同時に多くの宛先に送信(同報メール)する場合は、ToやCCでいいのか、 BCCにすべきなのか良く考えること。
・オートコンプリート機能をオフにする。
・頻繁にやり取りをする相手は、アドレス帳に登録しておくこと。
メール誤送信対策ソフトを導入し、宛先のWチェックを行うなど、システムとして誤送信を防ぐ仕組みを導入すると、よりリスクを抑えることができます。
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メールの誤送信は機密情報や個人情報が外部に漏えいしてしまうリスクが考えられます。個人情報の漏えいが発生した場合、プライバシーの侵害に該当する恐れもあり、法的な責任問題に発展した事例もあります。また、以上のことから会社の信用が著しく落ち込むことは避けられません。